今回はバレーボールシューズの
アシックス『METARISE 2 PARIS(メタライズ2パリ)』
を実際に履いたうえで、紹介・レビューしていきます。
アシックス『METARISE 2 PARIS』について
アシックス『METARISE 2 PARIS』は、METARISEの後継モデルとして以下のモデルが展開されています。
METARISE 2 PARIS | |
---|---|
品番 | 1051A078 |
足幅 | 2E相当(STANDARD) |
カラー・サイズ | ・750:Safety Yellow/Black(26.0cm~31.0cm、32.0cm) |
今回実際に履いてレビューを行うモデルは『METARISE 2 PARIS』(1051A078)「750:Safety Yellow/Black」「26.0cm」です。
METARISE 2 PARISは主に以下の機能が採用されています。
- ミッドソールのクッション材に「FF BLAST PLUS ECO」採用
- シューズ外側下部を中心に「RISETRUSS」採用
- クッション部に「カーボンプレート」採用
- シューズ内部にインナーアッパー的な「MONO-SOCK構造」採用
前作と比較すると、ミッドソールのクッション材の変更、「RISETRUSS」の形状変更・シューズの中心から外側半分のみの採用、「カーボンプレート」の採用。主にこういった点が変更されています。
METARISE 2 PARISで特に注目したいのが、「厚底」と「カーボンプレート」の2点。
近年ハイエンドのランニングシューズを中心に多く採用され、ブームを通り越して定番になっているこの2点。それらをついにバレーボールシューズにおそらく初めて採用したであろう今作。この機能・設計がどこまでバレーボールシューズに適応するのか。かなり意欲的でありロマンに溢れるバレーボールシューズとなっています。
重さは実測408g(26.0cm左片足・靴紐あり)。
他のバレーボールシューズと比較すると強烈に重く、同条件で372gだった前作よりもさらに強烈に重くなっています。
『METARISE 2 PARIS』を実際に履いてみた
- 履き心地
-
■■■□□(3/5:普通)
- フィット性
-
■■■■■(5/5:とてもフィットする)
- 通気性
-
■□□□□(1/5:とても蒸れる)
- グリップ性
-
■■■■■(5/5:とても滑りにくい)
- クッション性
-
■■■■■(5/5:とてもクッション性がある)
- 反発性
-
■■■■■(5/5:とても反発する)
- 安定性
-
■■■■■(5/5:とてもブレにくい)
- 屈曲性
-
■□□□□(1/5:とても曲げづらい)
- 重さ
-
■□□□□(1/5:とても重い)
- 価格
※メーカーカタログ値
※当サイト価格基準B -
■□□□□(1/5:とても高い)
総合評価 ★★★☆☆(3/5点)
とにかく超重厚
見た目から想像ついてましたが、実際に履いてみても超重厚なバレーボールシューズだなといった印象に変わりはありません。
とにかく重く、アッパーがゴツい。
そして、内側のアッパーと靴べろ部が一体となったMONOSOCK構造が足を優しくピタッと包み込んでくれ、そしてその上からゴツいアッパーが覆って二段階で防護されるような感覚があります。少し足入れしづらく通気性はかなり悪いですが、フィット性・安定性はかなり高い印象です。
個人談になりますが実際に履いて動いてみると、アッパーの設計(ゴツさ・履き口の高さ)の影響でしょうか、くるぶしにアッパーが当たって痛みを感じました。私の足がこのシューズに合っていないだけかもしれませんが、他の一般的なミドルカットモデルのバレーボールシューズなどではこういった痛みはほとんど感じたことがないことから、履き心地の評価を少し下げています。
異次元のクッション性と反発性
さて、METARISE 2 PARISの大きな特徴である「厚底」「カーボンプレート」について。
実際に履いてみると、この厚底とカーボンプレートが合わさって、今までに感じたことのないほどの超強力なクッション性と反発性の高さを感じました。特に反発性に関しては、シューズ自体の強烈な重さをかなり打ち消してくれると感じてしまうくらいに強烈な推進力が備わっているなと感じました。
METARISE 2 PARISのクッション性と反発性に関しては文句なしの最高評価(5/5ポイント)であり、これらの項目で今までに最高評価をつけてきたバレーボールシューズの中でもぶっちぎりのトップです。規格外の凄さです。
昨今のランニングシューズにおける「厚底」「カーボンプレート」の広まりが「なるほどこういうことか」と納得できてしまう。そして、バレーボールシューズにも「厚底」「カーボンプレート」がひょっとするとこれから広まってくるのかな?と考えさせられる、非常にロマンと可能性を感じる超強烈なクッション性・反発性となっています。
ほぼ屈曲せず、いきなり「カクッ」となる
一点、かなり気になる点として挙げたいのが、屈曲に関すること。
一般的なバレーボールシューズは足の指の屈曲度合いに応じてシューズの前足部分がある程度曲がってくれる。屈曲がしやすいと素早い動きやジャンプなどといったプレーの際にグッと踏み込みやすくなり、「動きやすい」と感じやすくなる。「動きやすさ」を構築する1つの要因が屈曲性の高さであると私は考えています。
しかしながらMETARISE 2 PARISは、踏み込んでもシューズがほとんど曲がらない。そして、よりつま先に重心をかけて前傾姿勢をとる(よりグッと踏み込む)と、一定のラインでシューズの形は割とそのままに突然「カクッ」と半強制的に前傾姿勢をとらされるような感覚がありました。おそらくカーボンプレートによってこういった特性が生まれているのかなといったところです。
好みや慣れはあるでしょうが、この特性によって私は正直言って動きづらい・扱いづらいといった印象をもちました。一般的なバレーボールシューズとは大きく異なる屈曲特性なので履きこなすには相当の慣れが必要になるでしょう。
価格がめちゃくちゃ高い
もう一つ、METARISE 2 PARISの大きな特徴である、あまりにも高い価格。
他のバレーボールシューズよりもずっと高い価格帯で展開されており、価格だけでほとんどの方は手が伸ばせないと思われます。
とはいえ、METARISE 2 PARISは色々と尖り散らかしたバレーボールシューズであり、おそらく一般の大多数の方々ではなく、価格は度外視にするくらいにかなりのこだわりをもっている方がターゲットになろうかと思いますので、この価格の高さはあまり問題にならないのかもしれませんね。
ほとんどの方にはSKY ELITE FF 3 PARISの方がおすすめ
例えば、「お金をより多く払ってでも、とにかくクッション性の高いバレーボールシューズがいい!」という理由だけで安易にMETARISE 2 PARISに飛びついてしまうと、あまりの尖り散らかしように「こりゃ扱えないわ…」となってしまうかもしれませんし、おそらく多くの方はそうなるのではないかと私は思っています。
「じゃあ、METARISE 2 PARISに似たバレーボールシューズの中で一般的におすすめのバレーボールシューズはなんなの?」ということですが、同じメーカーのアシックスであれば『SKY ELITE FF 3 PARIS』がおすすめです(記事執筆時点)。
SKY ELITE FF 3 PARISは一般的な中級者以上の多くの方にきっと満足いただけるであろうとてもおすすめなバレーボールシューズです。METARISE 2 PARISには及びませんがそれでもクッション性・反発性といった性能は非常に高いですし、それ以外の性能についても全体的に高いレベルでバランスよくまとまっています。そしてなにより「普通に使える」というポイントが強みです。「重い」「価格が高い」という懸念点はありますが、それもMETARISE 2 PARISと比べるとそこまで問題にならないレベルにまで成り下がってしまいます。
「SKY ELITE FF 3 PARIS以上のフィット性・クッション性・反発性・安定性を手に入れたい。その代わりに通気性の悪さ・重さ・価格の高さ・クセの強さなどといったものは全て受け入れる覚悟がある!」といった、相当の覚悟・こだわりがある方でなければ、SKY ELITE FF 3 PARISを検討した方が満足できるだろうと私は思います。
まとめ:ほとんどの人には向かないであろう超尖りまくったバレーボールシューズ
まとめると、『METARISE 2 PARIS』は、
ほとんどの人には向かないであろう超尖りまくったバレーボールシューズ
です。
前作以上にあらゆる面であまりに尖り散らかしており、一般のほとんどのバレーボールプレーヤーはおそらく手が伸ばせない・扱いきれないであろう。しかし、ごく一部の人にはメチャクチャにハマるかもしれない。そんなバレーボールシューズです。ポジション的に最も上手く適応しそうなのは…オポジット…なのかな?
とにかく、購入から履きこなすまでの全ての段階で人を選びに選びまくるでしょう。慎重にご検討ください。
総合評価:★★★☆☆(3/5点)